第2話 温泉のある宿

次の日は快晴だった。障子にはうららかな日がさして遠くのゲレンデには

 たくさんの人が見えた。

着替えを済ませるころには前の日のことは忘れていたくらいだった。

 というのもそういうことはよくあるのだ

高校のころからの付き合いだけれど一人霊感がある子がいて、その子が来ると

 何かしら起こる、性格が悪いわけでもなく美人で何も問題はないただの不運の

ように普通にそういうことが起こる。

彼女事態はもう何も感じていないようだったが、それは私と二人だけの秘密だった。

 帰ってきてその日一日滑って帰ってきて温泉に入り食事をしてから帰るつもり

だったが、一人がもう一泊しようと言い出した。

 ゲレンデが気に入ったらしい

 私たちは疲れていたのでうなづいた

もう君の悪いはく製にも慣れてしまっていたしとにかくこれから運転するかと思うとぞっとするほど疲れていた。


 二人で風呂に向かう

「昨日誰か歩いてたよね」彼女が言う

「旅館だしねしょうがないよ」ひそひそと会話しながら・・・

  旅館というのは本当にそういうことが多いのだ

 特にこんな風に古い旅館は、こんなところではく製を作るなんて

どうかしている

 ましてや、自分の飼っていたものをはく製にするなんて

 でも、こういう環境で暮らしていたらどんどんそういうことには

鈍感になってしまう

 人間には慣れというものがあってそれは変なことも普通にするのだから

 

 脱衣所には誰もいなくて岩風呂も思った良りきれいだった

シーズン中なのに泊り客はほかにいないようだ

 暗い電灯がともる湯につかる

白濁した湯はとろりと重かった

 なぜだか人間の油を溶かしたようなものを連想してしまった

なぜだろう

 薄い湯気がゆっくりとどこかに流れていく

 ふと、脱衣所の曇ったガラスに女の影が見えた。

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