第16話「約束」




あれから先輩と別れたあと、わたしは買い物に来たことを思い出し、店へと向かった。


久々にカステラが食べたくなって、わたしは小さい頃から大好きな福音屋ふくねやのカステラを買いに来た。


黄色い紙袋に入れられたカステラを片手に満足して帰る。

途中、紅茶のお店にも寄ってアールグレイの茶葉を買った。



自宅へと帰ると買ってきた茶葉で紅茶を淹れ、カステラと一緒にいただいた。


カステラには下の茶色い部分に粗目があって、これがまたおいしい。



そうしてお腹を満たし、一息ついたところで、わたしはスマホを取り出した。




『今日はありがとうございました』


個人トークを開いて送る。

相手は尾崎先輩。



それにはすぐに既読がつきすぐに『こっちこそ』と帰ってきた。


『またお話したいです』


なんて、送ってから少し恥ずかしがっていると


『なら、今度お茶でもしない?』


と返ってきて、わたしは驚いた。


『ぜひ!』


手早く打つとわたしはスマホを握りしめ、胸に押し付けた。

話せることが嬉しくて、ついつい口元が緩む。



わたしは先輩と日時を決めると机の上に置いてあるカレンダーに丸をつけた。

ほとんど何も書いていない殺風景だったカレンダーが、赤ペンで丸を書き足されたことで少し華やいだ気がした。






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