第17話「待ち合わせ」





約束の日、わたしは尾崎先輩と待ち合わせた駅の時計前で待った。


待ち合わせの15時。時間きっかりに先輩は姿を現した。



「待たせたよね? ごめんね」



眉尻を下げ、申し訳なさそうな顔をした先輩にわたしは小さく笑みを零す。


「大丈夫です、今来たところですから」


本当は十分くらい前に来ていた。

けれど、わたしは自然にそんなことを言っていた。



「本当? なら行こうか」


先輩は眉を元にあったところに戻すと、にこやかに告げる。

わたしはその後ろ姿について行く。


先輩の右隣を歩く。

たわいもない話をして、目的の場所へと向かう。

場所は先輩が決めてくれていて、わたしは知らない。


大通りから中へと入り、人通りの少なそうな中道。

そこを進んでいくとビルに挟まれてカフェがひっそりと佇んでいた。


二階へ上がるために設けられた階段にはツタが絡み、一階に入口がある。

ガラス窓のついた扉には「OPEN」と書かれた札がかけられていた。



入口の扉を開ける先輩に続いて、わたしもその扉をくぐった。








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