第8話「お手紙」




学校から家へと帰ると、わたし宛てのハガキが一枚、ポストに入っていた。

差出人はわたしの幼馴染みで、高校の先輩だった蓮香さんから。


丁寧な文字で書かれた内容は二人だけでのお茶会へのお誘いだった。


わたしは部屋へと戻ると机の引き出しから便箋と封筒を取り出した。

夏に合わせて金魚の絵柄を選び、筆を走らせる。




書き上げた手紙は封筒に入れ、次の日学校へ向かう途中で投函しようと思い、机の上に置いたままにした。




そして約束の日。

わたしは蓮香さんと待ち合わせた駅の大きな時計の前で彼女を待った。


「お待たせしたわ。待った?」


唐突に声をかけられ声のした方へと視線を向けるとブラウスにシンプルなスカート姿の蓮香さんが小さく手を振っていた。



「いいえ、大丈夫」


わたしがそう告げて微笑むと、蓮香さんも同じように微笑んだ。



「さ、行きましょう。とっておきのカフェに案内するわ」


はしゃぐ子供のように楽しそうな彼女はわたしの手を両手で包むと、有無を言わせず手を引いて歩き出した。







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