第19話『メニューを考えよう ①』
朝起きてボサボサの髪をとかして朝ごはん。
ずっと前、部活の強化合宿で泊まった所の食事処で流れてた曲が異常な中毒性があった。合宿中は練習中でも頭の中で何回も何回もループしていた事を思い出した。
お兄ちゃんとカグラさんは依頼を達成させるためにもう出かけて行った。セナさんはお兄ちゃんのポーチにずっと入ったまま全く出てこないし、何か用事でもあるのかな?
朝ごはんはマミさん特製のりんごジャムと、パン屋さんで買ってきた食パン2枚。
それにぶどうジュースに見た事のない紫色の野菜のサラダ。とても美味しそうとは言えない。
メルちゃんも降りてきて、髪を降ろしボサボサのまま一階にやってきた。欠伸あくびをしてまだ眠そうにしている。5時間くらいしか寝てないので仕方ない。マミさんも降りてきて、いつもとは違う、黒いTシャツに帯青茶褐色の半ズボンというラフな格好でやってきた。
髪だけは整ってるみたいでサラサラで綺麗な金髪が歩くたびに風にあたっているカーテンの様に柔らかく揺れる。
みんな揃ったところで、ガイルさんも椅子に座りいただきますをする。
やはり朝はテンションが低いのはみんな変わらないらしく、話はほとんど無かった。
朝ごはんを食べ終え、食器をテーブルに、ゴミはゴミ箱に捨てた。
「今日はみんなでカフェで出すメニューを考える」
話を切り出したのはガイルさんだった。メルちゃんは背もたれによりかかり気怠そうにしていて、マミさんは話を聞いているのかよく分からない姿勢をしていた。
「カフェで出すものはコーヒー、デザートなどを予定してるのだが、今日はデザートの方を考えたい」
ついさっきまで気怠そうにしていたメルちゃんは立ち上がり、目を輝かせている。
「デザートと言ったって、そもそもどんなものを作りたいんです?」
「そうだな・・・昨日のエッグの件もあるし、蜜を使った甘いデザートを作りたい」
「甘いデザートですか・・・あ、蜜を使うならホットケーキとかどうですか?」
ホットケーキならあの甘い蜜を使えるし、手軽に作る事も出来て時間の短縮にもなり効率も上がるに違いない。
「ホットケーキ・・・って何だ?」
みんな不思議そうな顔をしている。
まさかホットケーキを知らないなんて、あのふわふわのパンケーキに蜂蜜をかけて食べるメジャーな食べ物なのに・・・
「ホットケーキっていうのは、丸くて平べったいパンに蜜をかけて食べるものです」
「そんなものがあったのか。パン屋でもホットケーキなんて見た事がなかったのに」
そりゃパン屋さんじゃホットケーキはやってないですよ。ジャンルが少し違いますし。
「作った方が早そうですね。マミさん。ちょっとお願いしたい事が・・・」
「あ、作れますよ。ホットケーキミックスですよね?」
マミさん知ってるの!?でも知ってる人がいるのなら好都合。
それにマミさんの創る材料なら安心できる。
この世界にはどのような材料があるのかも分からないし、そもそも材料になるものがあるのすらわからないからね。
「あ、あと卵と牛乳って作れます?」
「自然にできるものは創れないの。ごめんね」
「そうですか・・・ではキッチンお借りします」
キッチンにみんなで移動して、エプロンをしてボウルや泡立て器などを、調理器具が入っている棚から取って、創ってもらったホットケーキミックスと、冷蔵庫にある卵と牛乳を取り出す。
一、まずはボウルに卵を入れ泡立て器でよくかき混ぜます。
二、計量器で測った適量の牛乳を入れ、またよくかき混ぜます。
三、ここでホットケーキミックスの登場!先ほどボウルでかき混ぜた牛乳と卵の中に、ダマができないようにふるいながら適量のホットケーキミックスを入れ、軽く混ぜます。混ぜすぎるとふっくらしなくなってしまうので。
ちなみにこの間、フライパンを強火で温めておきます。そして濡れたタオルの上に温めたフライパンを置き、冷やします。そうしないと熱すぎて良い色にならず、失敗になってしまうので!
(それと、マヨネーズなどを少し入れるとふわふわになるのですが、この世界にはそもそもないみたいです)
四、作った生地をフライパンに、少し上から入れ弱火で焼きます。
五、表面にプツプツとした小さい泡が出てきたらひっくり返します。
六、そしてフタをして二分ほどでふわふわのホットケーキの出来上がりです!トッピングに関しては自分のお好みでいいと思います。バターを乗せて蜂蜜を上からかけたりなど、私はこの組み合わせが好きですけどね。
同じように繰り返し作り、鮮やかなきつね色の四枚のホットケーキを作った。
「できました!みんなで食べてみてください!」
メルちゃんはホットケーキが一枚乗った皿を持ち、嬉しそうに席に持っていき、マミさんは目を丸くしてよだれが垂れそうになっている。ガイルさんは蜜の入った容器を取り出し、テーブルに置いてあるホットケーキにかけた。
綺麗な蜂蜜色をしている蜜で、甘い香りがあたりに広がる。
「これがホットケーキか・・・確かにふわふわで美味しそうだな。で、どうやって食べるんだ?」
「あ、ナイフとフォークを使います。ステーキと同じ様な食べ方ですよ!」
それを聞いたメルちゃんがホットケーキを切り、フォークを使い口に運んだ。
あれ、固まってる・・・?何かまずいことしちゃったかな?
「美味しい・・・これ、とてつもなく美味しい・・・」
続いて、マミさんも上手く切り、口に運んだ。
「私も一回作った事あるのけれど、ここまでふわふわで美味しいのは初めて・・・」
よかった、みんな美味しそうに食べてくれて。で、ガイルさんは・・・?
「これはいいな。簡単にできるし、何よりも美味い。採用しよう」
腕を組み納得の表情を見せている。
少しだけどお店のために貢献できるならよかった!
「さて、次は二つ目だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます