クリオネの見た夢


ふわり翼を羽ばたかせて

小さな身体のクリオネは

暗闇の海にたゆたいます

大人になったクリオネは

窮屈な貝殻を脱ぎ捨てて

自由な透明になりました


自由になったクリオネは

ゆらり海流に身を任せて

幸せだなあと思いながら

海の天井を見上げました

そこはキラキラ煌めいて

眩しさのあまり目を細め

そのまま瞼をとじました


瞼の裏で、クリオネは

翼を大きく左右に開き

水とは違う感触の中で

僕は飛べると叫びます


いったい、そこはどこでしょう?

海の蒼とは違う青が広がっていて

初めて見る場所なのにどうしてか

ノスタルジーにつつまれています


ハッと目覚めたクリオネは

ふたたび海の天井を見上げ

ふうっと小さく溜息をつき


あの光の向こうには、なにがあるのだろうと、初めて思ったりしたのです

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