第5話
努力家は天才を好きにはならない。なれない。そう思っていた。
花火大会の8月5日当日、彼女とボクは最寄駅で待ち合わせた。
「あ、ごめん待った?」
ボクが彼女に向けてこんなことを言う日が来るなんて、って思った。正直。
「大丈夫だよ」
彼女はにっこりと微笑んで、綺麗な髪をサラサラと風に揺らした。
膝下あたりの白いスカートを履き、夏らしい青いノースリーブのシャツを着ている彼女は、いつもの制服姿は違って見えた。人間味がある。
ふと彼女の携帯に目をやった。
「そのマスコット懐かしい」
昔子供向けのテレビ番組で放送していたアニメのキャラクター“ひげまる”
正直可愛いとは言えないなんとも眠そうな目のシャム猫のキャラクターだ。
「これおばあちゃんがくれたの。可愛いでしょう。」
可愛いとは思わない。ボクの中で2回目のひげまるへのツッコミ。
「いいと思うよ。」
やっぱり今日も蝉はうるさい。
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