10.因縁と真実
「あの……私も夕食ご一緒して良かったのですか?」
「もちろんよ。」
食堂へ移動した、セリカとギルバートとルナは静かに淡々と会話をしていた。
「うちの料理長が作る料理は美味しいわよ?? 自慢の家族よ」
「家族……? お兄さんですか? 正直あまり似ていないと思うのですが……」
「そりゃあそうよ。私とヴィンは血縁じゃないもの」
「じゃあ従兄妹とか?」
「あ、なるほど。そうくるのね。」
その答えを聞いてセリカは笑う。そして違うわ、と手を振った。
「そうね……ちなみにここにいるギルも私の家族よ。」
「へぇ……従兄さんですか」
「違うわ、旦那よ。」
「え!?」
「まぁそれが普通の反応だろ。」
驚くルナを見て、ギルバートが否定することも無く出されていた紅茶を飲んだ。セリカもうふふっと楽しそうに笑っている。
「え、えっと……否定しないのです、か?」
「ふふ。ルナは素直で面白いから、曖昧にしておくわ。」
「セリカ、お客さんをそんなにからかうんじゃない。」
「じゃあ数時間後は、これを語っても良いのね。」
「そんな暗殺者に語ることなんてあるのか、お前は」
「良いじゃない。暗殺者だって、一人の人間であることに変わりないわ。そして、一人の女の子だもの」
そうか……。つまらなさそうにギルバートは頷いた。そんな冴えない反応をする彼をよそに、セリカは一人楽しく笑っている。ルナは一人アタフタしている、なんていう変な空気が流れていた。
「……それで、ルナ。お前の本当の目的は何だ? 本当にノアを探していただけなのか?」
「はい。ノアを見つけて、相談したいことがありましたので」
「相談……? どんな?」
「大したことではありません。私が受けた依頼について、少し相談したかったのです。」
「依頼……ということは、暗殺の依頼か」
「そうです。ターゲットはあなたたちではないので、ご安心ください。」
「……そう言って安心するほど、俺も馬鹿じゃないけどな。」
「あら、私は安心したわ。じゃあ私は馬鹿なのね」
「そういうわけじゃ……」
ツンツンするギルバートを見て、セリカは二人の話に突っ込んだ。本当に面白いわね、とニコニコ笑う。
「…………」
「……ん? どうしたの、そんなに驚いた表情をして……」
「いえ……誰がターゲットなのか、聞かないのかと思って……」
「うーん……でもだいたい想像つくから聞かない」
「え……?」
「だって…………」
セリカが得意げに答えると、それを聞いて驚愕の表情を浮かべてルナが首を縦に振った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます