放課後の悲劇(粗)

 事の始まりは朝、先輩がバナナの話を始めたのだが、どういうわけか凍ったバナナで釘を打てるという話に疑問を抱いていたようで、学校の目の前まで来たにも関わらず、駆け足で自宅に戻り、バナナを取ってきたらしく、それを朝のうちに家庭科室の冷凍庫に入れておいたみたいで、放課後、私は先輩に呼び出されて家庭科室に行ったのだが、到着した時には先輩が凍ったバナナを片手に握り締めて、何故か剣道の面を被って仁王立ちしていて、私の発した物音に気付くと、スカートを揺らしてゆっくりとこちらに向き直り、コフーコフーと不気味な息遣いでのそのそと近付いてきたものだから、怪異にでも遭遇したのではないかと思えて、全速力で廊下に駆け出したのだが、私の動作を予測していたのか先輩もほぼ同時に駆け出し始めて、一定の距離を保ちながら二人の校内鬼ごっこが始まったのだが…開始僅か10秒で廊下を歩いていた生徒指導の先生と鉢合わせ、二人揃って2時間のお説教フルコース&反省文原稿用紙10枚の刑に処され、こうして私と先輩は隣り合って座り、下校時間間際の教室で黙々と懺悔の書を書き上げている訳だが…先輩、いい加減面を外して下さい…


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