4章 第24話 学園祭の終わり

 その後、山神と明は駆けつけた教師に発見され、男性も通報を受けた警察官によって確保された。2人が無事だったことと、学生達に混乱が起きることを避けるため、学園祭は何事もなく続けられることになった。しかし、事情聴取と病院での治療が必要だった2人は、そのまま戻るという訳にはいかなかった。


「...終わっちゃったんだね」

 校門の外から後片付けが始まった学園祭の会場を見て、明は呟いた。

 結局2人が戻ってくることができたのは、翌日の学園祭が終了した後だった。魅了魔術を受けた明は、精神に影響が出ていないかの検査に特に時間がかかってしまった。

「円香から連絡来てたよ。俺らのクラスは人気投票で3位だったって」

「そっか」

 明たちが教室を離れてからも客足が途絶えることはなく、学園祭の中でも話題になるほどだった。しかし明と山神が抜けてしまったことで、残りのメンバーでは対応が難しくなってしまった。上手く客を捌ききれず、並んでいる途中に待ちきれなくて帰ってしまう人も出るほどだった。結局その後も同様の状態が続いてしまったのだ。


「今回は頑張ってみたんだけど、やっぱダメだったや。私が言い出したことなのに、途中で抜けちゃってさ。きっとみんな怒ってるよね」

 しかし山神はスマホを確認すると、微笑みながら画面を明に向けた。

「そうでもないみたいだぞ」

 スマホの画面には、円香から送られてきたメッセージと1枚の写真が映っていた。片付けの前に撮ったのだろうか、人気投票3位の賞状と笑顔で映るクラスメイト達だ。

『 3位取ったよー。みんな2人を心配してるから、早く戻ってきてね!』


「みんな明が投げ出したなんて思ってないさ。居なくなったのを心配したのも、真面目に取り組んでたお前が戻ってこないのはおかしいってみんなが思ったからだ。頑張ったのは無駄じゃなかったよ」

 山神の言葉に、明の目が少し潤む。しかしすぐにいつものような笑顔になると、校舎に向かって歩き出した。

「じゃあ主役は早く戻らないとね。行こ、山神!」

 山神は軽く頷くと、明を追いかけるように足を進めた。



(さて、あとは俺の方だな)

 山神は歩きながらスマホで日付を確認する。養成校の試験の結果発表は、明日へと迫っていた。

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