4章 第4話 明のやる気
「全く男共は...。山神は賛成しなくて良かったよ」
放課後の教室で、男子陣を打ち負かした明は腕を組みながら言う。隣の円香は苦笑いだ。
「でも普通の出し物になってよかった。お化け屋敷は定番だもんね」
ホッとした様子で言う円香に対して、明は大きく首を振る。
「何言ってんの円香!やるからには人気投票一位目指すよ。どこよりも面白いお化け屋敷にするんだから!」
都立第三高校の学園祭では、来場者による各クラスの出し物の人気投票が行われる。そこで1番になると表彰と景品が貰えるのだ。もちろん大したものではないのだろうが、高校の思い出としては大きなものだろう。ちなみに学園祭の規模は第一、第二高校と比べると小さいが、毎年そこそこの来客がある。
「そういえばさっき何耳打ちされてたの?一瞬考えてたけどさ」
明が思い出したように言う。
「ん?ああ、円香のメイド服姿見たくないのかだってよ。ちょっと思ったけど...」
「え!?」
その言葉に円香が反応する。メイド服姿になることよりも、山神がそれをちょっと見たいと言った部分に驚いたようだ。続く言葉への期待と恥ずかしさが混ざったような顔をしていたが...
「だって面白そうだろ?」
またも予想外の言葉に円香は肩を落とす。一方、明はそれを聞いて噴き出していた。
「あっはっは。確かに卒業までイジれそう!良く似合うとは思うけどねー」
明の反応に円香は頬を膨らませる。さすがに調子に乗ったと思ったのか、明は笑いながらも謝っていた。
「あれ、剣次今日養成校じゃないの?」
明の笑いが収まった頃、円香の一言で山神は慌てて時計を確認する。やばい、と漏らすとすぐに帰り支度をし始めた。
「じゃあな2人とも。また明日」
「養成校で忙しいのもわかるけど、ちゃんと準備手伝ってよ?」
「分かってるよ」
念押しされ山神は苦笑いを見せながら教室をあとにした。
「とは言ったけど、山神が手伝わないってのは考えられないか。他の男子ならともかくね」
「そうだね」
2人は顔を見合わせて笑った。明は再度黒板のお化け屋敷の文字に目を向けると、やってやるぞと言う表情で大きく頷いた。
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