第8話 通り魔
ニュースです。昨日夕方駅前で通り魔事件が発生しました。犯人は20代くらいで大柄な男性、グレーのパーカーにジャージの様なものを身につけていたようです。男は手に持っていた鉄パイプの様なもので通行人をいきなり殴ったどのことです。これにより通行人二人が頭部を強く打たれて死亡、三人が重症、止めに入った警察官も病院に搬送されました。犯人は現在逃走しており、警察及び魔特が捜査をしているとのことです。
翌日の昼過ぎ頃、山神は墓参りを終えて駅前をぶらついていた。特に墓地が混むこともなく、スムーズに終わったため時間に余裕ができていた。おそらく円香も墓参りには来るのだろうが、二人が会うことはなかった。
(せっかく来たしこのまま帰るのもな...。でも一人だし)
駅前ということもあり遊ぶ場所には事欠かない。カラオケ、映画、ゲーセン、様々な店舗...高校生ならば十分に楽しめる。しかし三連休初日ということで、さすがに山神も一人でそれらに突っ込む勇気はなかった。
(こんなことならあいつらと映画見に行けばよかったな)
時計を確認するといつの間にか時刻は16時に差し掛かろうとしていた。今から合流というわけにもいかないだろう。
仕方なく帰ろうとした時、山神は少し離れた広場の方が騒がしいことに気づいた。何かイベントでもやっているのかと近づくと、突然悲鳴が聞こえてきた。
「と、通り魔だ!!」
状況を把握した広場周辺の人たちが一斉にその場から逃げ出す。
(通り魔だって!?)
山神も状況を理解した。ニュースか何かでやっていたものを記憶していたが、とっくに捕まったものだと思い込んでいた。恐怖で彼の足は震えていた。
(でも被害者は...)
しかしその流れに逆らうように、山神はゆっくりと広場の方に足を進めた。山神の周りでは制止する声もあったが、それも無視していた。
人をかき分けて広場の様子が見える所まで辿り着いた。そしてその光景見て山神の表情は固まった。襲われていたのは山神を映画に誘った友人たちだった。一人は肩を抑えて倒れており、他の二人は完全に腰が抜けて動けない状態だった。その前には鉄パイプのようなものを持つ男がいる。ニュースで聞いた特徴そのものだ。その目は異常に冷たく、二人のことを見下ろしている。離れていてもその異様な圧が感じられた。
そして男は鉄パイプを大きく振り上げると、友人一人の頭部に向かって思い切り振り下ろした。
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