第2話 サボり
よくある学園ものの物語なら屋上で昼食は定番だろう。しかし現実には落下の危険などから立ち入りが禁止されていることが多い。都立第三高校も例に違わず生徒の屋上への立ち入りを禁止していた。しかしそれで人があまり寄りつかないせいか、授業をサボるにはうってつけの場所になっていた。
1人の男子生徒がビニールシートを敷き、その上に寝転がっていた。今は昼休み後の授業時間。本来なら魔術実践の授業だったが、彼・
(...もうすぐ終わりか。別に他の授業はいいけど、戻ると変に心配されそうだしな)
彼は起き上がるとため息をついた。具合が悪い設定にするならいっそ早退してしまうべきだったと後悔していた。これでは戻ると誤魔化すのに苦労するし、それにアイツにはバレてしまうだろう。
「面倒だけど戻るか...」
山神は教室に戻ろうと立ち上がった。しかし校舎へと続く階段の方向を向いて顔が固まる。
「何が面倒なの?」
そこには女子生徒が立っていた。魔術実践の授業で、教師の言葉に複雑な反応をしていた生徒だった。髪は肩にかかるくらい、街中を歩いていたら異性の目を引くくらいの容姿をしている。ただ今の表情は険しい。
「
焦ったのか山神は明らかに自分がされる質問を口にする。
「こっちのセリフなんだけど。先生に言われたの。もしかしてサボりかもしれないから見てきてって。バレてないとでも思った?」
その言葉に山神は観念した様子でまたため息をついた。
「とりあえず戻ろう剣次。あの先生なら許してくれるだろうし、魔術実践はやっておかないとこれから困るよ」
「困る...か。どうせやっても変わらねぇよ。俺には無駄なことだし」
山神は少し俯いて答える。それを見た女子生徒・円香はムッとした表情から一転、少し悲しそうな表情を浮かべた。
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