夜
目が覚めた。太陽は既に地球の反対側へ行き、代わりに月が見えていた。
さて、そろそろ地球最期の時は迫っている。最期に、やりたいことがあるのを忘れていた。それは、自分の思いを書き殴りたかっただけなのだが。
紙はないのか…いや、あった。厳密に言えば紙は紙でも何かが印刷されている紙の、謂わば裏紙なのだが。
ふう。こんなものだろうか。
私は今の気持ちを全て紙に書き殴り、四つ折りにして机の上に置いた。捨てる必要はない。もう地球は終わるのだから。
月が高く上っていた。今日初めて時計を確認すると午後11時過ぎを指していた。もう終わる。何もかもが。
窓のサッシに腰をかける。夜風が涼しい。他の人間は今日が地球最期の日とは思っていないだろうから、いつも通り生活しているのだろうか。いや、それでいい。知らなくていい。
昔好きだったアーティストの曲を口ずさみ、足を外へ投げ出す。相変わらず夜風が涼しかった。
カチッ。
ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン…
12回鐘がなったのを確認すると
私は体を投げ出した。
そう、今日は「わ た し」にとっての地球最期の日である。
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