お別れにあたって
お別れにあたって、弓柄は「お手紙」をくれた。私は「お手紙」を用意していなかったので、慌てて自分のカバンにつけていた気に入りの「ウサギのキーホルダー」を外して手渡した。弓柄は無表情でそれを受け取り、ありがとう、と囁くようにおれいを言った。それから、彼女は泣きそうな顔で微笑んだ。私は微笑み返した。
家に帰ってから、弓柄がくれた「お手紙」を開けてみた。シンプルだけど可愛らしい便箋で、植物の柄が描かれているところが弓柄らしいと思った。でも、内容は。なんと書いてあるのか、私には判らなかった。弓柄の字が、きたなくて。
「これじゃあ読めないよ、弓柄」
私は笑って、それから涙をこぼした。もう会えないんだ。
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