肩がぶつかってしまうくらいに

 彼女は断りもなく、私の隣に腰掛けた。そして、膝の上でがさがさと袋を開けて、コンビニで購入したものと思われるオムライスを食べ出した。私は数秒、彼女のことを観察しただけで、それからは、ずっと目を逸らしていた。あんまり、じっと見ていたら失礼になってしまうかな、と思って。

 彼女はもくもくとオムライスを食べているようだった。スプーンでご飯をすくったり、それを咀嚼したりする音が、控えめに聞こえてくる。

 気にしないように、と努めていたが、やっぱり気になってしまうみたいだった。しょうがないだろ。だって、すごく近いんだもの。うっかりしたら、肩がぶつかってしまうくらいに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る