薄い膜
こんなもの、見たのはいつ以来だろうか。
日曜日の白昼、コンビニに行く道すがら、目の前をふわりとなにかが横切った。はじめは虫かと思ってぎょっとしたが、よく見たらそれはシャボン玉だった。あとから、ふたつ目のシャボン玉が飛んでくる。指で触れると、音もなくシャボン玉は割れた。ほんの少しだけ雫が飛び散る。
公園で、子供が吹いているのだろうか。はしゃぐ声が、かすかにだけれど聞こえてくる。
シャボン玉なんて懐かしい。小学生の頃、遊んだっきりだったかな、となんとなく記憶を辿る。確か、友達と遊んだ時だったような。
ふと、立ち止まる。
あれ、と思う。
本当にそんなことあったっけ。これ、本当の記憶なのか。頭に指先をあてる。本当にあったっけ、シャボン玉で遊んだことが。今、作ったんじゃないのか。今、シャボン玉を見て。昔遊んだな、という記憶を。
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