いっつもそうだ
「お化けが出るよ」
棚板は真顔で言った。笑えばいいのかな、と思って笑っておいたけど、「笑う処じゃないんだけど」と棚板に怒られた。反省して、私は唇を結ぶ。
「脅かそうとして言ってるんじゃないから」棚板は淡々とした口調で言う。「冗談でもないから。お化けってな、蜂とか蛇とかとなんにも変わらないんだよ」
「そうなんだ」私は首を揺らして頷いた。また笑ってしまっていたので、唇を噛む。「判った。気をつける!」
「君はいっつもそうだ」
棚板は私をそっと睨みつけた。薄い溜息をついて。
「人の話なんか聞いてないんだ。他人がどういう反応を求めているのか推測して、それを演ることしか頭にないんだから」
もう知らない、と棚板はくるりと身を翻して、どこかへ行ってしまった。私は唇をいつの間にか、めちゃくちゃにきつく噛んでいて、口の中に血の味が広がった。
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