PKとかでね

 きいきいと音が鳴る。

 公園のブランコが、ひとりでに揺れていた。今まで誰か、子供が乗っていて、その名残で揺れているのだろうと、最初は思った。

 でも、それにしては揺れがしっかりしているし、いつまでも揺れ続けている。僕は知らず、足を止めて、ブランコをじっと見てしまった。眉をひそめる。

「あのブランコ、おかしくないですか?」

 甲高い声がする。見ると、小学校高学年くらいの女の子が、いつの間にか横に立っていた。よく見ると耳に、ピアスをつけている。もしかしたら中学生かも知れない。ブランコの方へ視線を向けていた彼女が、こちらを見た。

「誰も乗っていないのに、動いていますよ。ねっ、おかしいでしょう」

 嬉しそうに言う。

「幽霊かも知れませんよ!」

「どうだろう」僕は溜息をつくように笑った。「誰かが、遠くから動かしているのかも知れないよ。PKとかでね」

 彼女がふっと黙り込んだ。

 数秒後、

 ブランコが止まった。

 僕は小さく戸惑って、まばたきをする。彼女は「あーあ」とオーバーに、残念がるような声を発した。

「なんだ、バレてましたか」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る