関わらない

 画鋲だった。

 金色の画鋲が落ちていた。書架は「画鋲だ」とわざわざ声に出して呟いてから、それを拾おうと屈んだ。手を伸ばして画鋲をつまむ。が、失敗して針を指に刺した。書架はびっくりして、思わず手を引き、画鋲を取り落とした。画鋲は転がっていって、停止する。

「痛ぇ」

 わざわざ声に出して呟いて、書架は指を舐めた。人差し指だ。指先は、舐めとると一瞬は綺麗になるが、すぐに丸く血が膨らんでくる。

「あーあ」と書架は嘆息した。

 気紛れをおこしたばっかりに、痛い目にあった。「これって何かの教訓なんだろうか」と書架はわざわざ声に出して呟いた。

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