俺の過去
俺は、ごく平凡な家庭に生まれ、
ごく平凡な日常を過ごした。
母親は少し天然は入っているが、
常識のある優しい人で、
父親は寡黙で中途半端が嫌いな人だった。
そんな両親と柴犬のはなの3人と1匹暮らしだった。
その日常はある日無残に崩れ落ちた。
中学2年生の夏、
部活で忙しかったある日、
俺が夕方家に帰るとはなが、
わんわん!うぅー、わん!わん!と
家に向かって威嚇し吠えている。
俺は不思議に思い家に入ると
けたたましく電話が鳴り響いていた。
急いで受話器を取ると…
「あ、ご親族の方ですか?
こちら……」
内容は衝撃的なものだった。
そして一人で抱えこむには
重すぎるものだった。
両親の突然の事故死。
原因はトラックの運転手の居眠り運転らしく、
両親は病院に運ばれてすぐに旅立ったらしい。
そして、事故の無残さがくっきりわかる車の後部座席からは俺へのプレゼントらしき
包みが見つかった。
その日は俺の誕生日だったから。
そのプレゼントだけが
両親を感じられるものとして残っていた。
中身は、部活用のスポーツバックと
時計だった。
俺はそれらを抱き抱え、
まだ母親と父親の気配のする家で
泣き崩れた。
それ以来俺は泣いていない。
少しやさぐれていた時に
饅頭を持った優が家に現れ、
大喧嘩しそのあと意味もなく二人で笑うと
優が
「そんな笑えんならまだ大丈夫だな」
と微笑んだ。
そっからあとは、
自分で思い出せよ、
優…、俺が言うことじゃないからさ。
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