ちくわともやし
隣で寝てる奴-色白の細身のもやし-は、
何にも心配事なんてない幸せそうな顔をして
寝ていた。
俺らのいる空間は、
四方を真っ白な壁で囲まれ物は何もない
無機質な空間。
まるで俺の心の中を形容したような空間。
周りを見渡しても何もない。異質な空間。
でも自然と不安は感じない。
この空間のこの違和感に慣れているからだろうか。
それとも、1人ではないからだろうか。
それは、よくわからないけど…まずは…
「おぉーい!おきろぉぉお!」
このもやしを起こすのが先だ。
「っ…!お母さん、うるさいなぁ。
まだ、寝てたい…ってあれ?
僕の部屋じゃない…うわぁあ!
誰?泥棒?それとも、あ、
…僕はそういう趣味無いんで
やめて下さいね?」
「…」
めんどくせぇ…。
もやしから、逃げ出したいが…
見たところドアもない。
「…なんか言ったらどうです?」
「…はぁ、めんどくせぇな。というかさ、
お前の部屋じゃねぇってわかったなら、
俺を疑う前にまずこの状況と空間に違和感を持てよ。」
「…ん?…ああ!たしかにね。
んー…
僕自分の部屋にいたはずなんだけどな…。
まさか僕ら誘拐された…とか?」
「「…ないな。」」
すこし空白の時間があってから
そう2人で同時にそう呟いた。
俺らには思い当たる節が一つあったから。
それは…
「謎のメッセージの謎の質問。」
ないな、と呟いた後、
もやしの話を聞くと、
やはりあいつも俺と同じ状況らしい。
2つの質問に、はい、と答えたら
眩い光とともに意識が遠のき気がついたら
俺と真っ白な空間があった。
「…これからどうするか…。こんなんじゃ
死ぬのも時間の問題だぞ…、もやし…」
「んー…そうだね…ちくわくん…
どうしよう。」
なんだ、「ちくわ」って…
「なんでちくわ?」
そう問うと
「へ?だって、何かがすっぽり抜けて
空虚だからちくわ。ぴったりでしょ?」
と言われ、
逆になんでもやし?と問われたから
「…筋肉なくてひょろっこいから。」
と答えた。
「あーなるほど。」
もやしが感心するように
すこし頷きながら
パーの状態の右手を
左手に作ったグーを縦してぽんと叩くと、
それが合図だったかのように、
2人のスマホに同時にメッセージが届いた。
「件名:spiritual quest」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます