第8話 それからどうなった
「ありがとうございます」
「あなた方のおかげです……」
「今日は助かりました!」
英語検定は終了した。試験会場から、ぞろぞろと受検者たちが出てきた。次々に出てくる受検者の中にはC-membersに助けられた者もいて、次々に彼らへお礼の言葉をかけてきた。
そして、その中には、
「今日はありがとうございました! みなさんのおかげです!」
「ありがとーございます!」
あの兄妹もいた。
「無事に受検できて、何よりだよ」
凛は心からの笑顔を浮かべ、兄妹に言った。
「間に合って良がった。晴真の全力疾走も、結局必要ながったしな」
「晴真さんの全力疾走、すごい速さですよね……」
「オレはもっと活躍したかった!」
晴真が少し不満そうに言うと、その場に笑い声が響いた。そこで譲が、兄妹に一言。
「二人共、良かったな。兄貴、妹を大切にな」
「は、はい!」
「あれ~、珍しいじゃん? 譲が仕事で、そんな風に喋んの」
「はいはいは~いっ! 凛さん、仕事終わりに甘いもの食べに行きませーん?」
晴真の言葉を遮るように、要がおどけながら提案した。すると凛の顔はパアァッと明るくなった。
「うん!」
譲は要の行動を不思議に思いつつも、ホッとしていた。
……ん?
ここで譲は、あることが気になった。
「要先輩……」
「何?」
「そういえば、あの三人組はどうしたんですか」
「ああ、大丈夫! ちゃーんと本社に連絡したから! さっき凛さんにも言ったし、お前が心配することねぇから!」
「……はあ……」
しかし、本来聞いたら安心するはずの「大丈夫」という言葉にゾッとするのは、なぜなのか。譲はそう思った。
「あ~、何食べようかな?」
仕事終わり、今、C-membersは行きつけの店の前に到着した。
カランコロンカラーン。
「こんばんは~!」
凛の本当に嬉しそうで明るい声と共に、店の扉が開いた。
「いらっしゃ……おー、おめーら! お疲れさん!」
店のマスターとC-membersの仲は、もう言うまでもない。
「どうも……って、え?」
譲は、今自分の目に映った光景に、驚きを隠せない。
「いらっしゃいませ……ってゲッ!」
C-members行きつけの店で、あの三人組が働いていたのだ。
「おー、お前ら! ちゃんと働いているかー? 」
快活な要の声が店内に響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。