第6話 安心してください! 刺せませんよ
「このやろぉ~っ!」
「こいつ……」
譲は、三人組Bがナイフを持って向かってきたことに驚く。譲は、三人組Bを自分よりも若く、恐らくまだ学生だと思った。そんなまだ「少年」とされる身だというのに、こんなにも簡単に刃物を持ち出すとは。
「ガキがそんな危ないもん、使ってんじゃねーよ!」
そう言って、譲は自分の武器をサッと出した。
「ひぃっ!」
今度は三人組Bが驚いた。それは、
「刀だってぇっ⁈」
そう。譲の武器が、三人組Bのナイフなんて足元にも及ばないくらい、立派なものだったからである。
「お前が俺を殺す気なら、俺だってそれなりのことをする」
「……や……、やってみろ! わあああ~っ!」
三人組Bは、弱気になりながらも、譲に立ち向かう。そして、譲もまた、目の前の敵に向かっていった。
「やあー!」
近づく両者。
「ひいっ……」
そして勝負は、
「めーんっ!」
「ぎゃーっ!」
あっという間に終わった……、と言っても、
「……ったく……」
譲は一切、三人組Bの体を傷つけてはいない。
「俺がマジでやるとでも、思ったか?」
三人組Bは、譲の武器が自分の頭上に迫ってきたことで、これまでで一番の恐怖を感じ、気絶してしまったのだった。
「……これもマジじゃねーし」
そう言って、譲が立ったまま気絶している三人組Bの頭をぺしっと叩き、三人組Bは倒れた。自分が今、手にしている武器で。
「あららー、びっくりしちゃった」
「要さ……」
「違う。てかさー、さっきもしれっと間違ってたよ」
「……要先輩」
「そうそう。何気にお前の学校の先輩なんだから、ボク」
「そーですね」
「カタナモドキすげーな。殺傷能力は本物に劣るけど、こうしてショックを与えることができるんだから」
「劣るというか……、殺してはいけないから作られたんですけどね、これ。殺すのはダメでしょう」
「社会的にも、会社的にも、ね」
「はい」
「……こういうちょっとした言葉遊びも、自分で言わずに人に言わせるのな、お前」
「は? そっちが勝手に言っているんじゃないですか」
「言いたかったんじゃないの~☆」
「余計あり得ませんよ」
からかう要。それに赤くなる譲。
「おお! 見ろよ、譲ちん! こいつ……」
「はい?」
要が指を指した先に、譲は目を向ける。
「うわ!」
「こいつのソーセージから、レモンティー出ちゃってんぜ!」
「……先輩がそういう例えすると、かえって下品な感じするし、今後の食欲もなくなるんですけど」
「そう。じゃ、ちんちんからしょんべん出ちゃってんぜ」
「わざわざ言い直さなくて良いですよ!」
譲は下品なものが大嫌いだ。
「それにしても、怖くてお漏らしって、本当にあるんだね」
「この人は……」
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