第4話 C-membersだョ!六人集合 ~「六人」と書いて「全員」と読む!~
「あれだよ、きみちゃん!」
姫美子を連れて走り出した凛は、自分たちが向かった先を指差し、先ほど見つけたものを彼女に教えた。
「……大変!」
姫美子が見たものは、意地の悪そうな三人組に囲まれて困っている二人の兄妹。この兄妹の持ち物から、二人はこれから英語検定を受ける身なのだと思われる。
「お願いだから、会場へ行かせてくれ! せめて妹だけでも!」
「
必死な兄妹に、意地の悪い三人が、それぞれ答え始めた。
「決まってるだろ。ムカつくからさ」
「いじめたいからさ」
「お前があのとき、言い訳して金をよこさなかったこと、許せないから」
「あの金は英検を受けるために必要な金だったからだ! 妹は……この初めての英検のために、頑張って勉強したんだ! せっかくの妹の努力を無駄にしないでくれ……」
「兄ちゃん……」
頭を下げる兄と、もう泣きそうな妹。しかし三人組は、絶対に二人を自由にしないようだ。
「きみちゃ~ん!」
「凛さーん」
凛と姫美子は、自分たちを呼ぶ声にハッとし、後ろを振り向く。
「みんな!」
他のメンバーが駆けつけてきたことに喜ぶ凛。そして、
「きみちゃ~ん、んぅう~」
「きゃーっ!」
姫美子にキスを要求しながら向かってくる晴真。悲鳴をあげる姫美子。当然、
「ぐ!」
制止される。
「離せっ……が……な゛め……」
「きみちゃんに何もせず、仕事するなら離してやる」
「は……い……」
「んじゃ釈放」
「どわっ!」
要に首もとをパッと離されて無事解放された晴真は、その後勢い余って後方へと倒れ、頭を強打した。その横で、大悟が「何もそごまですっことあんめ……」と言いながら、要の容赦ない部分に寒気立っていた。
そんなガチャガチャしている横で、譲が先にその場にいた二人に聞くが、
「一体何が……ああ、あれか」
聞く前に、何が起こったのかを理解したようだ。
「早く行きましょう」
凛と姫美子は頷き、譲と共に前進した。大悟は「ほら行ぐど」と残りの二人に言って歩き出し、要はその後ろを、ヨダレを垂らしてのびている晴真をズルズル引っ張りながらついて行った。
これで、COOLMANの一部、C-membersの全員が集合した。
※「何もそごまですっことあんめ……」
↓
「何もそこまですることないだろう……」
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