第3話 晴真と譲

「今の説明で、分からないことはありませんか? ついて行きますか、お姉さん?」

 

 試験会場に向かっていたものの道に迷ってしまった女性に、すぐさま声をかけた晴真はるまは、ゆずると共に道案内をしていた。


「いいえ、大丈夫です! 分かりやすくて助かりました。ありがとうございます!」

「頑張ってくださいね」

「気をつけて」

「……はい!」


 一礼して目的地へ向かっていった女性を、晴真と譲は見送る。


「すげー美人だった……」

「ついて行くなんて、本当に下心すごいですね。少し引いてませんでしたか、あの方」


 女性が去った後もデレデレしていた晴真に、譲は心底呆れている。


「オレは肉食系なんだよ。何だお前、少し顔が整っているからって、かっこ付けやがって」

「さっきの女性への態度とは大違いですね。何ですかその言い方」

「うるさい。一番下のくせに、いちいち生意気なんだよ」

「そんなんだから、前にいた部署のリーダーに嫌われて、こっち飛ばされたんですよ」

「……ムカつく! というかオレもあいつのこと嫌いだったから、事実上オレの部署変更希望だし!」

「良いように言いますね」

「黙れ! 大体お前なんて、昔は相当やばかったくせに!」

「……」

「おーいっ! 晴真、譲ちん!」


 晴真と譲が争っていると、二人を呼ぶ声が聞こえてきた。二人の前に姿を現したのは……。


「要! ディーゴ!」

「凛さんときみちゃんが、どこかに向かっている。何かあったみたいだから急げ!」

「何があったのが、まだ分がんねーけど」

「分かりました、行きます」

「きみちゃ~ん、待っててね~」


 気を引き締める譲と、甘ったるい声を出す晴真。四人は足を進める。


「晴真さん、真面目にやってください」

「お前こそ、もう真面目にやれよな!」

「大丈夫だよ晴真。譲ちんは副リーダーなんだし」

「は? 何言ってるんですか要さん! あれは正式なものじゃ……」

「よっ! 便所でお尻を副リーダー!」

「要さん!」


 要にからかわれる譲を見て、晴真はニヤニヤしている。


「人がからかわれているのを笑うなんて、本当に性格悪いですね!」

「別にオレ、お前に好かれるために生きている訳じゃないしー。あ、きみちゃーんっ!」


 姫美子を見つけた晴真は、ものすごい速さで前進した。


「安定の速さ、というか安定の晴真だな」

「姫美子さんも迷惑していますよ」

「おめーら急ぐど!」

「ほーい」

「それにしても、何があったんでしょうね?」







 


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