今は昔のヒプノセラピー

 半年位前のことである。

 何がどうして繋がったのかまるで覚えちゃいないのだが、ネット上で「ヒプノセラピーで直感を磨く」なる講座を見つけて「ふおっ」と思った。

 まあ、そういった講座が個人レベルの店舗での催しとか会合ならさほども驚きもしなかったのだが、大きくてメジャーなカルチャーセンターで、1回1時間半が全4回。受講料は全部まとめて1万程度。

 私が初めてスピリチュアルとかヒプノとかに触れた時代の空気からは、想像もつかない展開だ。

 なんというか…時は確実に流れているのだなぁ。


 ヒプノセラピーについては実は2度ほど試したことがある。


 1度目は、漫画とかで前世やチャネリングの体験記などが掲載され始めの頃、めっちゃ興味深々だった私は雑誌で紹介されていたヒプノセラピストに予約を入れてみた。

まあ結論から言うと、ものすごい無駄遣いだったのは否めない。そもそも最初っから感触が悪かった。

 まず支払いは事前に1万五千円を指定の口座に振り込み、指定された日になったら携帯に電話してそこで場所と時間を教えるという段取りだった。

 今思えば、実に胡散臭い話だ。

 事前に最寄り駅だけは連絡があったので、その日午前中に電車で移動しながら途中で電話を入れてみた。

 で、電話に出たヒプノセラピストなる女性にこう言われたのだ。

「え…あなた入金してないでしょ。キャンセル扱いですよ。」

 非難がましい口調は今でも記憶鮮明だ。

 もう細かいやり取りは覚えていないが、振込みの証明は確実に手元にあったのでそれを主張したろうと思う。

 規約みたいな注意書きに”いかなる場合でも返金には応じない”とか書いてあったので、そもそもキャンセル扱いとかいうのならお金は返してもらえるのかをしつこく聞いたと思う。

 事務所にかけ直しをさせられ、対応が男性に変わり「時間は遅くなるがせっかくなのだから受けてください」とか言われて、指定のホテルでヒプノを受けたのはなんと午後11時半。

 そのホテルはヒプノセラピストが個人的に宿泊予約をしたもののようで「ホテルは来客を嫌うのでこっそり来てください」という注意をされ。

 ヒプノセラピストは顔を合わすやいなや、わざわざ記帳に行ってやったのよと通帳をヒラヒラされ。

 で、肝心のヒプノはまるで駄目だった。

 既にこんな目に合わされてる時点で信頼も信用もあったものではないから、どんなにセラピストに力があってもうまくいくはずない、と今なら分かる。

 そして当時の私でも、チャネリング能力もあるという触れ込みのこのセラピストには何の力もないことがありありと分かった。

 何かのマニュアル通りに作業をこなしてるのがあからさまだった。

 このような経緯で、初めてのヒプノは時間とお金の無駄遣いに終わった。

 今なら違う対処の仕方をしたろう。若くて気弱で愚かだった体験だ。


 2度目はそれから5年位経った頃に、ヒプノを受けレポート書けば無料というのを見つけ応募してみた。

 自宅で開業するにあたりモニターを募集していたのだ。

 前出のヒプノセラピストより好印象な人物で、真面目な感じで説明も丁寧だった。

 しかし、そこでまた残念なことが起きた。

 いざ施術に入り、誘導でいい感じに催眠状態に入っていたのだと思う。

 その瞬間、ピンポーンと呼び鈴が鳴り、私は一気に目が覚めてしまったのだ。

 どうも新聞の勧誘かなにかだったようで対応するのがうっすら聞こえきてきた。

 皮肉なことに目が覚めたことで自分がどれだけ良い状態で瞑想に入っていたか分かった。もうそれだけに本当に残念だ。

 あの状態から誘導されたら本当に何か見られたかもしれない。今思い返してもそう思う。

 しかし何せ無料だったので気を使ってしまい、結局適当に話を合わせて終わらせてしまったのだ。

 思えば、モニターだからこそ本当の事を伝えるべきだった。

 自宅開業のモニターなのだから、そこは注意すべきだと言うべきだったと、相手にも自分にも意味のない事をしたと、後悔している。

 ちなみにあれから自分でも挑戦してみたが、あれほどの瞑想状態は今もって体験していない。

 ちゃんと伝えればなにか変わっていたかもしれない。残念な体験だ。


 まあこんな感じで、人の体験を否定はしないがともかく私にヒプノは向かないのだろうと思っていたのだ。

(こういう場合スピリチュアル的には「今の私には不必要なのだ」とか「今は受けるべき時ではないのだ」という考え方をするようだ)

 そして結局のところ、カルチャーセンターでヒプノとは…という好奇心の疼きに勝てず、私は講座を受けてみることにした。

 講義内容は、講師の話を聞いたり、皆で適当な単語を並べてそれについて連想したことを発表したりして、最後に皆で講師の誘導でヒプノをするという流れだった。


 受講の結果分かったこと。


・講義の目的の直感を磨くという事は、あまりヒプノと関係ないのではないかと思われて仕方がなかった。

・感じたことをシェアしましょうと言われて喋らせられるのだが、それが自分には非常に苦痛なのだと自覚した。

・皆でヒプノをする時。講師が「皆さんのネガティブな感情が足の裏から出て行きます。」と誘導するのだが、なんか足の裏から出た皆さんのネガティブが部屋に溢れんばかりなのではないかと思われて、集中できず困った。

 さらにそのことについて講義の感想アンケートに書いて出したが特に回答が得られず、結局皆さんのネガティブの行方は分からない。


 総じて、私はほんとに集団でなにかやるというのが苦手な人間なのだなと改めて認識した。

 ヒプノのようなものはやはり個人で受けるのが良いようだ。他の方はどうだったのか分からないが、とにかく私がやるなら、まず周りを整えて集中できる場を作るところからしないといけないようだ。


 ところで直感を磨いて知りたかったことが実はある。

 私は1月21日生まれなのだが、どうも占い師さんの使う天文暦の種類の違いで「山羊座だ」と言われたり「水瓶座だ」と言われたり。

 天文暦とは何種類位あるのか知らないが、私は星占いのどっちを読むべきなのだ。

 直感で決めたいと思ったのだ。

 さらに干支も立春前だから前年の干支のひつじ年だといわれたり、さる年だといわれたり。

 自分の干支の対角線上の干支は、裏干支と言ってお守りになるという話を読んで「私も欲しい」と思ったのだが、うしにすればいいのかとらにすべきなのか。

 こういうのを直感で決めたかったのだ。


 残念ながら直感は心もとないので、いろいろ調べて考えた。

 丑寅の鬼門なのだから鬼のマスコットにしようかとか(鬼門が丑寅だから鬼は牛のように角を生やし、虎の皮を纏っているそうな)。

 結果、干支の守護仏が未申セットで大日如来、丑寅セットで虚空蔵菩薩となっているので持つならそれかな、という結論に至った。

 ご縁があったらどちらかのお寺さんで購入できる日も来るだろう。

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