コンテストのあと
ただ後日談を書いてみたくなった
怪談コンテストなるものを見つけて応募してみるかと書いてみましたが、ほぼ予想通り落選した。
読み返してみると、もう肩に力入ってるというか張り切って書いている私。なんか恥ずかしい。
あれから後日談(と言えるほどのものでもないが)とか、ちょっと記録を取っておきたい事があったので、備忘録的に続けて書いてみることにした。
職場の問題について、言えないだろうこんな事という感じで「どうしようもない話」は終わっているが、ひょんなことから喋ってしまった。
会社の人が話を振ってきたのだ。
「社長が会社に来たら頭痛がする。生霊を飛ばされてるのではないかと思うがどう思う?」
会社ではその頃、問題の社長は近々退任し、専務が社長になることが内定していた。
小さな会社なので役付きはまあ皆血縁で、一族で話し合って決めた様なのだが、社長はどうも無理やり辞めさせられたと思っているようだった。
どんな話し合いが行われたかは下の者には分からないし、私も知らないから実際のところはわからない。
とにかく社長は出社してきても酷く不機嫌で、それを隠そうともせず下の者に当り散らしていた。
その人を仮にAさんとしておく。Aさんは以前から社長と折り合いが悪かった。
はっきりした性格の人で、社長といえど遠慮せず皆の前で怒鳴り合いにまで発展した事もある。
私の怪談趣味は話題に乗せた事はなかった。だからAさんから出し抜けにそんな話題を振られてうぉっと思ったが、元が嫌いじゃないからなんかつい盛り上がってしまったのだ。
「Mさんが上の階に男の人いるの見たって。」
「部長は女性が応接室にいるって言ってた。」
……なんか……自制していた私の葛藤って……。
世の中の結構フリーダムな空気に、なんかしみじみ感じ入ってしまった。
「どうしようもない話」でのちょっと閉塞感というか重苦しいような話の締め方が、大袈裟で恥ずかしく思える。
そんな流れに任せて、私は占い師の話をしてしまったのだった。
次の日は私は休みに当たっていたが、休み明け出社すると「神社ご祈祷の案内」というのが張られていた。
手配したのは専務だそうだ。
あの雑談が耳に入ったのかどうかは知らない。
ご祈祷自体は祭壇を組んで祝詞を上げてもらい、会社の気になるところを清めてもらうという手順で恙無く行われた。
しかし、正直ご祈祷後の会社の空気があまり変わった気がしない。
元々が怖くなかったものだから、ご祈祷で怖くなくなったわ~とか、そういう前後の比較が出来ないしなんともいえないのだが、実は私個人の感覚として「あそこは絶対清めてもらうべきだ。」と考えていた場所が清めてもらえなかったのだ。
ただ一人、ご祈祷に不参加だった社長が鍵を閉めていってしまった場所。
心霊だの怪談だのがここまでカジュアルになったのだな、という感慨とともに感じる危うさ。
皆は「お払いしてもらったから大丈夫」と思ってるんだとしたら、しっぺ返しが来そうに感じるのは私の杞憂なのか。
ちなみに会社の現実もトラブルや諍い続きであまりよい感じがしない。
そしてそんな会社の大変さを見ていながら「あ、このネタでホラー小説書きたいかも…」と思ってしまう自分の業が怖い。
書きかけのモノもあるのに…そのうち書くかな。
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