♯8 少女
俺は肉体的な
どうやら俺の鱗粉には治癒力もあるらしい。
ただし俺専用だけど。
先の戦闘で、俺は本当の意味で
憎たらしい事に、敵から奪う事で命の重みを知ったのだ。
それからもう、何にも触れていない。
触れる事で、殺してしまう。
自分の持ってしまった能力の害悪性に恐怖して、そのまま立ち直れなくなってしまった。
そして何より、戦闘が終わったあの時。
敵を倒した事より奪う事に快感を覚えた自分がいた事が、何よりも怖かった…………。
「……?」
俺の顔を、小さな誰かが
幼い女の子だった。
「たたかうって、こわいの?」
「……あぁ。怖い」
「なんでこわいの?」
「自分が自分じゃなくなるから怖い」
「じゃあ、じぶんってなに?」
「……………………」
答えられなかった。自分とは何か、そんな事考えた事も無かった。
きっと、少なくとも今まではその答えが必要では無かったからだ。
というかそもそもこの娘は誰だ!?
小さな女の子が、何故こんなところにいるのだろうか?
「こんにちは!」
「こんにちは……?」
「私、アルナ!お兄さんは?」
見た目からしても外国の生まれだと思う。
「……シレン」
思わず、自分の名前を
コードネーム:アルナ。
本名:ウル・W・ヴァルフリード
【
【駆除】数は【連合】内では10本の指に入る。その数、累計35体。
別名、【
そう言って皆、寄り付く事すらしない。
怖いから。
でも、俺にはそんな化け物になんか見えていなかった。もし仮に彼女が化け物であったとして、俺も同じようなものである。
そこに拒絶したり
「お兄さん、たたかうのきらい?」
「好きでは無いかな。つい今日、初【駆除】だったんだけどさ、手の震えが止まんない」
「たたかうのがこわいんじゃないよ、それ。きっとそれは『じぶんがこわい』の」
「!!」
自分が怖い?自信過剰も良いところだ。
そんな事考えるのは、己の力が強いと信じる者だけだろう。
――――命を奪えるだけの力、あるじゃん。
「『じぶんがこわい』ときってね。
『じぶんがきらい』なときなんだよ?
じぶんが『どれだけすごい』か、わかんないときなんだよ?」
何だろう。
この娘の言っていること、俺は前にも
と、突然頭が痛む。中学時代からの『
「お兄さん……!?」
何故だ、何故こんなに頭痛が激しい?
気が
意識が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます