第225話自喜

自喜


身慵難勉強 性拙易遅廻 布被辰時起 柴門午後開

忙驅能者去 閑逐鈍人来 自喜誰能會 無才勝有才



自分では満足している。


そもそも怠け者なので無理して努めることは苦手である。

器用ではないので、何かにつけてやることが遅い。

辰の時になって、ようやくせんべい布団から身を起こし。

柴の門を開けるのは昼過ぎだ。

さて、忙しさというものは、有能な人を連れ去るのだろう。

閑というものは、私のようなのろまな者の後をついて来るらしい。

そうは言っても、この私の満足感を理解する人などいないだろう。

私は無能であることは、有能であることに勝ると思っている。


※勉強:無理して努めること。

※布被:麻などでつくった貧相なせんべい掛け布団。

※柴門:柴でつくった粗末な門。


○大和七年(833)、洛陽の作。

○世間でなんと言われようと、のん気な生活を楽しむ、これもひとつの理想と思う。

 ただ、白楽天自身は名声と財産はしっかり確保している。

○訳者も怠け者なので、白楽天の気持は、本当によくわかる。

 訳していて、ニヤリと笑ってしまった。

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