第224話代鶴
代鶴
我本海上鶴 偶逢江南客 感君一顧恩 同來洛陽
洛陽寡族類
主人誠可戀 其奈軒庭窄
故郷渺何處 雲水重重隔 雑念深籠中 七換魔天
鶴になり代わり
私は、本来は海辺の鶴にございます。
それが、偶然に江南に来られていたお方に出会ったのです。
そして、そのお方のお目にかなったことをうれしく思い、一緒に洛陽に参ったのでございます。
ただ、洛陽に来てみれば、同類は少なかったのです。
この私の姿が、天与の気高さを帯びているとか、
色が白いのは、毎日の水浴のためではありません。
ご主人を心からお慕い申してはいるのですが、
何しろ、この住まいの狭さに、どうにもなりません。
水を飲むのも、餌と啄むのも、鶏などと同じなのです。
歳月も過ぎてしまったので、かつての気高さもどこへやら。
故郷は、はるか遠方、どこなのでしょうか。
そのうえ、雲や水が、幾重の隔てをつくっています。
思いがけずに、籠に深く押し込まれ
天高く飛ぶための羽を、七回も換えてしまいました。
※渺:遠くてぼんやりとしている。
○大和七年(833)、洛陽の作。
○江南から持ち帰った鶴になり代わり、鶴の悲哀を代弁する。
ただ、持ち帰った本人は白楽天。
今さら何故、こんな詩を詠むのかと思う人もあるかもれない。
ただ、白楽天自身は鶴が欲しかった反面、鶴には故郷を離れさせて申し訳なかったという気持があったのだと思う。
白楽天の、気持の優しさを感じる詩と思う。
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