第226話感舊詩巻
感舊詩巻
夜深吟罷一
昔の詩巻に思う
深夜に詩を吟じ終え、深いため息をつく。
老いの涙が、灯火の前の白い鬚を湿らせる。
これは二十年前の昔の詩巻。
この詩を一緒に唱和した十人のうち、九人がこの世の人ではない。
※詩巻:詩を書き記した巻物。
※
○大和七年(833)、洛陽の作。
○二十年前に十人の仲間で作った詩巻を手にして、その詩を吟じたのだと思う。
そして吟じ終わった後、残っているのは自分ひとりと自覚し、涙する。
長生きは、辛く寂しいこともある。
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