第218話任老

任老


不愁陌上はくじょう春光盡 亦任庭前日影斜 面黒眼昏頭雪白 老應無可更増加


老いるに任せて


人生における輝かしい歩みでなくなったとしても、もはや悲しむことはない。

庭の日差しが西に傾いたとしても、気に病まない。

すでに我が顔は黒ずみ、眼はかすみ、頭は雪のような白さだ。

老いがこれ以上は増えることはないだろう。


陌上はくじょう春光盡:「陌」は大都市の目抜き通りの意味。その目抜き通りから春の光が消えるというのが直訳。「目抜き通りの春の光」を、人生における輝かしい歩み」とあえて意訳をしてみた。

※庭の日差しが西に傾くのを恐れるのは、人生が日没ごとに短くなることを恐れると理解した。


○大和六年(832)、洛陽の作。

○老いていく肉体を感じ、今更仕方がないと、老いそのものに任せるしかない。

 自嘲気味といえば、そうなる。

 長寿にて生きていれば、誰もが味わう思いなのだと思う。

 

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