第217話寄劉蘇州

劉蘇州りゅうそしゅう


去年八月哭微之 今年八月哭敦詩とんし 何堪老涙交流日 多是秋風揺落時   

泣罷幾回深自念 情来一倍苦相思 同年同病同心事 除却蘇州更是誰



劉蘇州りゅうそしゅうに寄せる


去年の八月に元稹が死して哭き、今年の八月には崔群が死して哭した。

この老人の両眼が堪えきれず涙を溢れさせるのは、いつも秋風が木々を枯らす季節。

涙を必死におさめて二人を思い出せば、さらに悲しみがこみ上げ、彼らへの思いが募る。

同じ年、同じ病、そして同じ心を持つ人は、劉蘇州りゅうそしゅう君の他に、誰がいるのだろうか。


劉蘇州りゅうそしゅう劉禹錫りゅううしゃく。大和五年に蘇州刺史に任ぜられた。中唐を代表する文人の一人、元稹亡き後、白楽天と最も親しく付き合った。

敦詩とんし:崔群の字名。元和二年、白楽天とともに翰林学士になって以来の友人。白楽天の履道里の屋敷の向かいに居を構え、親交を深めた。


○大和六年(832)、洛陽の作。

○古くからの友人も少しずつ、鬼籍へ入っていく。

 残された白楽天の寂しさを、同じく残ってしまった同い年の友人の劉禹錫りゅううしゃくに訴えている。




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