第215話府西池

府西池


柳無気力枝先動 池有波文冰盡開 今日不知誰計會 春風春水一時來


府庁の西の池にて


柳はその生気はないけれど、その枝が少しだけ揺れている。

それでも、池には水紋が見えている。

氷はすでに、すっかり姿を消したようだ。

今日は誰の計らいなのだろうか。

春の風と春の水が、一緒にあらわれている。


※府西池:河南府の役所の西にあった池。

※柳無気力~:まだ芽がふかない眠ったような柳。それでも春の微風で枝が少しだけ揺れる。

※池有波文~:冬の間、池を張っていた氷が全て溶けて、水面が見える。


○大和五年(831)、洛陽の作。

○冬から春に変わる時期、柳の枝が揺れ始め、池を張っていた氷が全て溶けた。

 「春風春水一時來」、これも好きな表現です。

 

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