第207話日高臥

日高臥


怕寒放懶日高臥   臨老誰言牽率身  夾幕繞房深似洞   重裀襯枕暖於春

小青衣動桃根起  嫩綠醅浮竹葉新   未裹頭前傾一醆  何如沖雪趁朝人


日が高くなるのに、寝そべったまま


寒さをこわがって、日が高くなるのに、のん気に寝そべったまま。

この老いた年になっても、身に引っ張られるなど、誰が言うのだろうか。

帳が部屋を取り巻いているので、その中は洞窟の中のように、静まりかえっている。

敷布団を重ねてあるので、枕との間には隙間も無く、春よりも暖かい。

小さな青い衣が動いた。

可愛い姫の桃根が目を覚ましたのだろう。

柔らかな緑の濁り酒は、出来たての銘酒竹葉青だ。

髪を整える前に、まず一杯。

この雪の中を朝廷に向かう人には考えられないような、この生活。



※放懶:気ままに、のん気に。

※桃根:妓女の名前。

嫩綠どんりょく:若緑色。

※醅浮:濁り酒が発酵して粒が浮いてくる。

※竹葉:竹葉青という銘酒の名。


○大和四年(830)、洛陽の作。

○雪の降った寒い冬、日が高くなっても布団に包まり、愛娼と酒を酌み交わす。

 のん気な生活、それ以上はなかなか・・・


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