第200話阿崔
謝病臥東都
豈料鬢成雪 方看掌弄珠 已衰寧望有 雖晚亦勝無
蘭入前春夢 桑懸昨日弧
膩剃新胎髮 香繃小繡襦 玉芽開手爪 酥顆點肌膚
弓冶將傳汝 琴書勿墜吾 未能知壽夭 何暇慮賢愚
乳氣初離殼 啼聲漸變雛 何時能反哺 供養白頭烏
病身となり洛陽で臥したまま、やつれ果てた一人の老夫がいる。
身寄りが頼りないことは、
老身で跡継ぎを得たけれど、歳が
なんと雪のような白髪の年齢になって、はじめて掌中で愛でる真珠を得るとは思わなかった。
衰えも感じていたし、跡継ぎを持つ望みなどは考えもしなかった。
しかし、遅くても、跡継ぎがないよりは、よいことなのだ。
去年の春に、夢で蘭を見たのが、兆しだったのだと思う。
昨日は、男子の誕生祝いで、桑の弓を懸けた。
近所からは、揃ってお祝いに来てくれるし、親族も一緒に喜んでくれる。
柔らかくふわふわとした髪を剃り、良い香りのする身体を産着にくるむ。
玉でできた芽そのものの指を開くと、乳の跡が点々と残っている。
職人は、その子供に弓作りや鍛冶を教えると言う。
この父も、お前に仕事を伝えよう。
琴を弾くこと、書物を読むこと、この私に劣らないように。
そうは言っても、私はいつまで生きるのだろうか。
お前が賢いかどうか、そんなことを考える時でもない。
また乳飲み子で、生まれてきたばかり。
泣き声は、生まれた時よりは、力強くなったけれど。
君はいつになったら、食べ物を口移しで、白髪のカラスに孝養として与えてくれるのだろうか。
※
※謝病:病気を理由に外部を謝絶する。
※
※孤單同伯道:「孤單」は、身寄りがないこと。普の
※
※蘭の夢:子供が出来る吉兆と言われている。
※桑の弓:男子が生まれると、桑の弓を門に懸ける風習があった。
○大和三年、洛陽の作。
○五十八歳で初めて得た男児であった。
白楽天としては、予想外の宝だったので、その思いそのものを詠んでいる。
ただ、この男児は、三歳までの命であった。
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