第185話其の五 和我年三首

和我年三首 其一


我年五十七 榮名得幾許 甲乙三道科 蘇杭両州主

才能本浅薄 心力所労苦 可能随衆人 終労於塵土


その五 「わが年」に和す 三首 その一


私は五十七歳になった。

さてどれほどの栄誉を得たのであろうか。

まず科挙の三つの試験に合格した。

蘇州と杭州の二つの州の刺史を務めた。

才能においては、もともとは、乏しかった。

そのため、気苦労が絶えなかった。

こんな私が、世間一般の人と同じように、老後を暮らしても良いのだろうか。


※甲乙:科挙

※三道科:礼部が主催する進士科、吏部が主催する書判抜粋科、天子が主催する制科。


○今までの栄誉を身に余るものと謙遜し、人並みの老後を送ることに心苦しさを感じると言う、さて、単なる謙遜だけではなく、今後の政局に不安を感じていたのだろうか。何しろ宦官が何をしでかすかわからない朝廷に戻ってしまったのだから。

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