第183話偶眠

遇眠


放杯書案上  枕臂火爐前  老愛尋思事  慵多取次眠  

妻教卸烏帽  婢與展靑氈せいせん  便是屏風様  何勞畫古賢


知らない間に眠ってしまった。


酒杯を机の上に転がして、暖かな火の前で手枕をする。

この老年になると、あれこれと物思いが多くなる。

何もかも面倒になり、知らない間に眠ってしまった。

妻は頭からう烏帽を外し、下女は青い毛氈を敷いてくれた。

こうなると、まるで屏風絵のようだ。

いまさら、かつての賢人など描く必要はない。


○大和元年(827)、長安の作。

○確かに暖かい暖房具の前で、ほろ酔いになれば眠くなる。

 眠ってしまえば世話を焼いてくれる人がいるのだから、幸せなのだと思う。

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