第182話閑行

閑行


五十年來思慮熟  忙人應未勝閑人  林園傲逸ごういつ眞成貴  衣食單疏たんそ不是貧

専掌図書無過地  遍尋山水自由身  儻年七十猶強健  尚得閑行十五春


ゆっくりのんびりと散歩する。


五十年も生きていれば、思慮も熟すものだ。

多忙な人が、暇な人に勝ることなどはない。

自然に好き放題に生きることこそが、貴い。

衣食が粗末であることは、貧しいことではない。

今の仕事は図書の管理に限定されているから、特に過ちには関与しない。

山水を自由に訪ね歩く自由の身だ。

もし七十まで元気であるならば、気ままに、あと十五回の春に散歩ができる。


○大和元年(827)、長安の作。

○秘書監の仕事は、朝廷の図書を管理する、いわば閑職。つまり陰謀渦巻く政治とは無関係にして気楽である。ただ「過ちには関与しない」と書いてあることから、白楽天自身は「政治の世界」を不穏なものとして、恐れているのだと思う。

とにかく、命をかけた足の引っ張り合いの世界なのだから。

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