第181話白楽天の三回目の長安滞在

時期としては、大和元年(827)から大和三年(829)まで。

白楽天が五十六歳から、五十八歳。


朝廷内では、宦官が皇帝をコントロール下に置き、権勢を欲しいままにしていた。

その情勢に立ち向かう官僚はなく、いたとしても左遷あるいはそれ以上の罪を課せられた。

また、朝廷内は、そのようであったけれど、地方では朝廷に対抗するべく節度使の騒乱が頻発していた。


さて、我らが白楽天は、蘇州刺史を辞し、洛陽でのんびりしたいところではあったけれど、大和元年三月に、秘書省の長官である秘書監任命の辞令を受け取った。

その要請は、時の宰相の裴度、韋処厚だった。さすがの白楽天も宰相直々の要請には抗しがたかったと思われる。


白楽天は四月に洛陽を出発し長安に到着、新昌里の邸宅に入った。

翌年の大和二年には刑部侍郎の要職に出世する。


※秘書監は、宮中の図書を管理する。官位は高いけれど政治の実務とは遠い閑職。

※刑部:中国古代の朝廷における六部の一つ。司法を担当する。

    長官が刑部尚書、次官が刑部侍郎。

    法務副大臣くらいの地位だろうか。


※次回以降、九首を訳します。

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