第180話太湖石

太湖石たいこせき


煙翠三秋色  波濤萬古跡  削成靑玉片  截断碧雲根

風氣通巖穴  苔文護洞門  三峯具體小  應是華山孫


太湖石たいこせき


煙るような翠は、秋の三ヶ月の色

波のような模様は、万古からの痕跡

靑玉が一片削り取られ

碧の岩が切り出された

風は遠く巌の洞まで吹き抜けて

苔は綾をなし、洞窟の門を守っている。

三峯は小さいながらも、その形を留めている

これこそまさに華山の孫である。


太湖石たいこせき:太湖から採れた石。観賞用の庭石。白楽天が蘇州刺史を辞した際に、洛陽に持ち帰った石。

※煙翠:煙るような翠色。

※秋三月:七月、八月、九月の秋三ヶ月間。

※雲根:雪は山の岩窟から生じると考えられていて、岩石を雲根と言う。

※三峯:華山(長安の東に位置する五岳のひとつ)、三つの峰がある。


○大和元年(827)、洛陽の作。

○愛した蘇州から持ち帰った太湖石たいこせきを眺め、様々な感慨にふけっている。

○屏風絵に書き込んでも、美しい詩と思う。


※白楽天は二ヶ月程度の洛陽滞在の後、再び長安に秘書省の長官として戻ることになります。

次回以降、長安時期の九首を訳します。

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