第179話初到洛下閑遊

初到洛下閑遊


漢庭重少身宜退 洛下閑居迹可逃 趂伴入朝應老醜 尋春放醉尚粗豪


詩攜綵紙新裝卷 酒典緋花舊賜袍 曾在東方千騎上 至今躞蹀しようちょう馬頭高


洛陽に来た当初、ゆっくりと散歩した。


漢の朝廷においては、若い人を大切にしたほうがよく、私のようなものは退くべきなのだ。

この洛陽に閑居していれば、世間からあれこれと言われなくてもすむのだから。

仲間を追って朝廷に入るなど、まさに老醜と思うけれど、春を楽しむとか酔いにまかせるなどは、まだまだ誰にも引けを取らない。

詩作用の彩色紙の巻軸を手に、酒を買うためとして恩賜の緋の花模様の袍を質入れしてしまう。

こんな私でもかつては、東方千騎の先頭に立っていたのだ。

そして、今でも馬に高々とまたがり、堂々と歩んでいる。


※漢庭:漢の朝廷。

※東方千騎:かつては朝廷の中枢にいたことを、軍の先頭に立って活躍したと表現する。


○大和元年(827)、洛陽の作。

○洛陽到着時期、引退するべきという思いと、まだまだ過去の栄光を忘れられない思いが、交錯している。

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