第174話河亭晴望
河亭晴望
(九月八日)
風轉雲頭斂 煙銷水面開 晴虹橋影出 秋雁櫓聲来
郡静官初罷 郷遥信未廻 明朝是長九 誰勧菊花杯
河沿いの亭から、よく晴れた景色を望む。
雲は風向きが変わり消え去り、水面はもやが消え静かに開けている。
よく晴れた空にかかる虹のように、橋の姿が水に現れた。
秋空を飛ぶ雁の声のように、舟の櫓の音が近づいてくる。
郡中は静かになり、今、私は官職を退いたばかりだ。
しかしわが故郷は遠く、出した手紙の返事が、まだ来ない。
重陽の節句は、明日。
菊を浮かべた杯を、誰が勧めてくれるのだろうか。
○宝歴二年(826)、蘇州の作。
○体調不良となり、白楽天は九月になって、職を辞した。
寂しさと、肩の荷を降ろした安堵感が交錯した美しい詩だと思う。
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