第172話呉中好風景二首 其一

呉中好風景二首 其一


呉中好風景 八月如三月 水荇すいこう葉仍はな香 木蓮花未歇  

海天微雨散 江郭繊埃せんあい滅 暑退衣服乾 潮生船舫活  

両衙りょうが漸多暇 亭午ていご初無熱 騎吏語使君 正是遊時節


呉中は風景が素晴らしい 二首 その一


呉中は風景が素晴らしい。

秋の八月だというのに、三月のようだ。

今でもアサザの葉から香りが漂い、

木蓮の花も、まだ残っている。

海辺の空から微雨はやみ、川のほとりの町は埃が消えた。

暑さも消え去り、衣服もさっぱりと乾いた。

潮が満ちて船の往来が活発になった。

役所の仕事は、やっと暇になった。

正午というのに、暑さを感じない。

馬担当の下役人が話しかけてきた。

「遊びに行くには、もってこいの季節です」


※呉中:蘇州の古名。

水荇すいこう:水面に葉が浮かぶ。根茎を食用とする。

※木蓮:夏から秋に開花する。

両衙りょうが:朝晩二回の役所勤務。おそらく刺史としての決裁業務と思われる。

※亭午:正午

※騎吏:馬担当の下役人

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