第164話贈皇甫庶子

皇甫庶子こうほしょし


何因散地共徘徊 人道君才我不才 騎少馬蹄生易蹶 用稀印鎖澀難開

妻知年老添衣絮 婢報天寒撥酒醅しゅばい 更愧小胥咨拜表 單衫衝雪夜深來


皇甫庶子こうほしょし殿へ


理由はわからないけれど、閑職で一緒にうろついている。

それでも、君は俊才、私は凡庸というのが世間の評判。

馬にもほとんど乗らないので、不慣れでつまづいてばかり。

官印も使うことが滅多にないので、官印を取り出す箱の鎖も堅くなって開きにくい。

我が老身をいたわり、妻は綿入れを厚くするし、下女は寒天の日には濁り酒をかき混ぜる。

申し訳ないことが更にある。

役所の部下が、上表文書の表現の伺いで来てくれたのはいいけれど、この雪道を、ひとえの服で、深夜に来てくれたこと。


皇甫庶子こうほしょし:白楽天の同僚。

※散地:閑散とした地位。太子庶子のこと。つまり閑職。

※小胥:役所の部下。

※單衫:ひとえの上着。


○宝歴元年(825)、洛陽の作。

○暇で仕方がない自分に対して、妻や下女、そして部下までが懸命に尽くしてくれる、そのありがたさに素直に感謝している。白楽天の性格がよく出ている詩だと思う。



※次回以降、次の赴任地、蘇州時期の詩を訳します。

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