第163話履道新居二十韻(3)

洛下招新隱 秦中忘舊遊 辭章留鳳閣 班籍寄龍樓

病愜官曹靜 閑慚俸祿優 琴書中有得 衣食外何求

濟世才無取 謀身智不周 應須共心語 萬事一時休


洛陽で知り合った隠者を招き、長安の旧友を忘れてしまった。

中書省には起草した文書を置き去りにし、官位は東宮にお預けした。

ここは静かな役所、病身の私にはありがたい。

こんな閑職なのに、高い俸給で気が引ける。

琴や書物で十分に楽しんでいるし、衣食が足りる以上の俸給も不要なのだ。

この私に、世を救う才能はない。

また、処世術などの知恵も不足している。

語りあうのは、我が心の内奥と。

世俗に関わるのは、すぐに終わりとするべきと思う。


※新隱:新しく知り合った隠者。

※秦中:長安。

※辭章:文書。

※鳳閣:中書省の雅称。

※班籍:官位。

※龍樓:東宮。


○長慶四年(824)、洛陽の作。

○新しい職務の太子左庶子は、本当に全く実務がなく、閑職だったようだ。

 そして、手に入れた居宅は、かねてから憧れていた仙界のような雰囲気に満ちている。白楽天としては、本当に安楽な気持に包まれている。

○俸給をもらいすぎなどと書くのも、白楽天らしい気がする。


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