第162話履道新居二十韻(2)

とう臨平岸 攜茶上小舟 果穿聞鳥啄 萍破見魚遊

地與塵相遠 人將境共幽 泛潭菱點鏡 沉浦月生鉤

廚曉煙孤起 庭寒雨半收 老饑初愛粥 瘦冷早披裘



腰掛けを平らな岸辺に移して、準備しておいた茶を携えて小舟に乗り込む。

果実をつついて啄む鳥の声が聞こえ、水草の切れ目からは魚が泳いでいる姿を見る。

世俗の塵からは相当離れ、この地にいる人は幽遠な境地にひたることができる。

淵に浮かんでいる菱が鏡のような水面に点を打ち、鈎のように細い月が岸辺に沈んでいく。

朝になると、厨には一筋の煙が上がる。

寒々とした庭に降っていた雨は、半ば止んだ。

空腹を抱えた老いた我が身に、朝粥がしみわたる。

痩せた身体には寒さがこたえるので、早々と皮衣を身につける。



とう:移動できる床几のような腰掛け。


○とにかく、素晴らしく美しい庭のようだ。

 白楽天は、やっと長年の夢であった仙境のような庭を持つ屋敷を手に入れた。

 長年の苦労も、やっと報われたようだ。


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