第150話餘思未盡 加爲六韻 重寄微之(1)

餘思よし未盡 加爲六韻 重寄微之


海内声華併在身 篋中きょうちゅう文字絕無倫 (美微之也)

遙知獨對封章ふうしょう草 忽憶同為獻納けんのう臣 走筆往來盈卷軸 

(予與微之前後寄和詩數百篇 近代無如此多有也)


除官遞互掌絲綸しりん

(予除中書舍人 微之撰製詞之除翰林學士 予撰製詞)


思いが尽きないので、六韻を追加して、再び微之に送る。


国中の名誉をその一身に集め、小箱に収められた文書の素晴らしさは、この上ないものである。(微之を褒め称える)

ただ一人で密書の起草を行っていたのを、遠くから眺めていた。

私の心に、ふと浮かんでくるのは、お互いに諫言を行う臣下であったことだ。

自由に筆を走らせた、お互いの応答は、巻物を満たし

(私と微之が、これまでやり取りした唱和した詩は、すでに数百篇、最近ではこれほどの量はないと思う)

任官の時には、互いに詔勅の筆を持ったのである。

(私が中書舎人に任命される時は、微之が辞令を書き、微之が翰林學士に任命される時は、私が辞令を書いた)


※声華:名声と栄華。

篋中きょうちゅう:書物を収納する小箱。

封章ふうしょう草:宰相が天子に呈する密封した上奏文の草稿。

獻納けんのう臣:元稹と白楽天は左拾遺(天子に諫言を献上する職掌)

絲綸しりん:天子の言葉。

※製詞:詔勅






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