第149話答微之誇越州州宅

答微之誇越州州宅


賀上人回得報書 大誇州宅似仙居 厭看馮翊風沙入 喜見蘭亭煙景初

日出旌旗せいき生氣色 月明樓閣在空虛 知君暗數江南郡 除卻餘杭よこう盡不如


微之が越州の官舎を自慢してきたので、返事をする。


祝辞を託した人が、返事を持ってきたので、それを受け取った。

中身を見ると、わが官舎は仙人の住まいだと、たいそう自慢げな様子である。

馮翊ひょうようでは砂埃が舞い続けていて辟易していたのだろう。

それが蘭亭が靄にかすむ様子を見て、さっそく悦に入っている。

昇る太陽の光に照らされ刺史殿の顔は精気がみなぎり、明るい月の光に照らされ楼閣は空中に浮かんでしまったのだろう。

おそらく君は、江南の様々な風景と見比べているのだろうけれど、私の杭州を除けば、どこにも勝る場所はない。


※賀上:元稹(微之)の越州着任への祝辞。

馮翊ひょうよう:元稹の前任地。同州のこと。

※蘭亭:紹興の古跡。

旌旗せいき:州刺史を示す旗。


○長慶三年(823)、杭州の作。

○親友元稹との居宅自慢のやり取りらしいけれど、以前にはなかった明るさがある。

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